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名古屋地方裁判所 昭和52年(わ)1790号 判決

本店所在地

愛知県大府市北崎町大島六九番地

日活合成工業株式会社

右代表者(代表取締役)

井戸田活子

本籍

名古屋市西区白菊町三丁目五八番地

住居

同市千種区東山元町四丁目六一番地

会社役員

井戸田活子

昭和九年九月六日生

右の両名に対する各法人税法違反事件について、当裁判所は、検察官多谷千香子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人井戸田活子を懲役一〇月に、被告人日活合成工業株式会社を罰金三〇〇万円に、それぞれ処する。

被告人井戸田活子に対し、この裁判が確定した日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日活合成工業株式会社は、愛知県大府市北崎町大島六九番地に本店を置き、塗料溶剤類の製造販売等を営業目的とする会社であり、被告人井戸田活子は、右会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人井戸田活子は、被告人日活合成工業株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告人会社の昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一三一、九六五、三三四円であつて、これに対する法人税額が五一、一四六、六〇〇円であつたのにかかわらず、雑収入を除外し、架空仕入を計上するなどして、貸付金を計上せず、かつ、支払手形を架空計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年一一月三〇日愛知県半田市宮路町五〇番地の五所在の半田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八一、七九七、五二一円であつて、これに対する法人税額が三一、〇八四、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により、前記正規の法人税額と右申告税額との差額二〇、〇六二、三〇〇円の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人井戸田活子の当公判廷における供述

一、被告人井戸田活子の検察事務官に対する各供述調書

一、名古屋国税局収税官吏作成の被告人井戸田活子に対する各質問てん末書

一、内海和夫及び鶴田ひとみの各検察官に対する供述調書

一、河野秀夫及び中島鐘重の各検察事務官に対する供述調書

一、名古屋国税局収税官吏作成の名井方、向井幸一、河野秀夫、富田初代及び鶴田ひとみに対する質問てん末書

一、河野秀夫及び内海和夫作成の上申書

一、株式会社百五銀行東山支店長黒田巌、株式会社富士銀行本山支店長早川和孝及び愛知県信用金庫堀田支店長玉井精二各作成の回答書

一、名古屋国税局収税官吏作成の各査察官調査書

一、半田税務署長作成の各証明書(法人税申告書及び同修正申告書各写)

一、名古屋法務局東浦出張所登記官作成の商業登記簿謄本

(法令の適用)

被告人井戸田活子の判示所為は、法人税第一五九条第一項、第二項に該当するので、その所定刑中懲役刑を選択し、所定刑期の範囲内において、同被告人を懲役一〇月に処し、また、同被告人は、被告人日活合成工業株式会社の代表者で、その業務に関して、判示の法人税を免れる罪を犯したものであるから、同法第一六四条第一項を適用し、同法第一五九条第一項、第二項所定の罰金額の範囲内において、被告人会社を罰金三〇〇万円に処することとし、なお、被告人井戸田活子に対し、諸般の情状を勘案して、刑法第二五条第一項を適用し、この裁判が確定した日から二年間、右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 吉田誠吾)

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